今も現役!ボンネットバス「伊豆の踊子号」(静岡県伊豆市)



伊豆半島を網羅するオレンジ色のバス・東海バス。中伊豆を走る新東海バスには、1台のクラシックなバスがあります。
それが、今となっては貴重なボンネットバス「伊豆の踊子」号です。

*正式名称:いすゞBXD30

*製造年:1964年(昭和39年)

このバスは伊豆の山々、特に天城峠を越えて走る「天城線」(修善寺駅~天城峠~河津駅~伊豆急下田駅)用として製造されたうちの1台です。


1台の定員は49名(うち座席は29席)。長年天城の顔として走ってきましたが、1972年ごろ一旦現役を引退しました。引退後は「教習車」として使用され、多くの運転士や整備士を育成してきました。


1976年(昭和51年)、伊豆の観光活性化の一環として修善寺駅~七滝口~河津駅間に「伊豆の踊子」号として観光運転を開始しました。絣に黄八丈の着物を着た踊り子姿の車掌さんが乗務して人気を集め、1979年(昭和54年)7月28日からは、日曜祝日に定期運転されるようになりました。

このボンネットバス「伊豆の踊子」号はたちまち人気となり、全国のバス会社でボンネットバスの復活運行が始まるほどの火付け役となりました!東海バスに入社するバスガイドさんの中には、この伊豆の踊子の衣装に憧れて入社した人も少なくなかったそうです。

そうなると修善寺営業所所属の1台だけでは足りず、鞆鉄道(広島県)で走っていたボンネットバスを購入して「伊豆の踊子2号」として稲取営業所所属で走らせました。

こちらが、旧天城トンネルの所で撮影した「伊豆の踊子2号」です。ヘッドライトやフロントグリルの形が違うのにお気づきでしょうか。また乗降用のドアも中間部にあったのが特徴です。(画像提供:東海自動車株式会社)

1995年(平成7年)、稲取営業所所属の「伊豆の踊子2号」が引退し、エンジンは修善寺営業所所属の1号に載せ換えられました。

現役時代の「伊豆の踊子」号です。1号は天城峠越えの路線バスとして、3~11月の日曜祝日(夏休み期間中は運休)に観光運転されてきました。その他貸切運行や、2~3月の「河津桜まつり」の時には「お花見バス」として、河津町内を走っていました。

しかし各種部品の確保が困難なことや老朽化が進んだことから、晩年は天城峠を越えない修善寺駅~昭和の森会館間で運転されてきました。数年前からは定期運用こそないものの、イベント運行や団体貸切などで今も元気に活躍しています。

*昔懐かしの方向指示器「アポロ」


このバスを見るうえで欠かせないのが、左右に取り付けられた方向指示器です。こちらは通称「アポロ」と呼ばれ、曲がる方向にガチャンとレバーが出ます。現在は法令上、ウインカーの設置が義務付けられていますが、このボンネットバスでは昔ながらの「アポロ」も併用されています。

*夏は暖房完備のバス


このバスのエンジンは、前方のボンネット内部にあります。そのため夏は熱が車内にこもり、サウナ状態になるのが特徴です。よって真夏日はこのバスはお休みとなります。今では部品を確保するのも大変だとか。


こちらが運転席です。古いバスであるため、ハンドル操作にもコツが必要といわれています。それだけ長年、愛されて大切にされてきたバスといえましょう。

後ろから撮影した「伊豆の踊子」号です。丸っこいつくりになっています。これを見た子供さんが「あ~、トトロのバスだ!」と言っていたのが印象的でした。

【貸切料金】
中伊豆(修善寺地区)1日ワンマン貸切 60,000~70,000円程度(税別)
※古いバスのため、営業地区外や山岳路線方面への運行は不可。

【お問い合わせ】新東海バス 0558-72-1841

僅か数年で消えた幻のモノレール!手柄山交流ステーション(兵庫県姫路市)



姫路駅からバスで10分のところにある手柄山公園。面積38haの市民公園。太平洋戦全国戦災都市空爆死没者慰霊塔がある山を中心に、手柄山遊園水族館温室植物園回転展望台平和資料館など様々な施設がある姫路市民憩いの場所となっています。

姫路駅からこの手柄山公園まで、かつてモノレールが走っていた事を知っている人も、今では少なくなりました。

姫路博へのアクセス手段として開業
1966年(昭和41年)、姫路市の手柄山公園にて「姫路大博覧会」が開催されました。

 


その会場へのアクセス手段として、姫路駅から手柄山駅まで1.6キロのモノレールが5月17日に開業しました。


工事の遅れなどから、博覧会の開幕には間に合わなかったですが、開業時には多くの市民がこのモノレールを待ち望んでいたそうです。当初は市内に環状路線を敷き、広畑などの播磨工業地域までの延伸や、遥か鳥取までの路線構想まで打ち出されたほどでした。

日本では珍しかった「ロッキード式」モノレール
モノレールには大きく分けて、東京モノレール、大阪都市モノレールなどが採用している「アルウェーグ式(跨座式)」と、湘南モノレール、千葉都市モノレール、上野公園モノレールが採用している「ソルフェージュ式(懸垂式)」の2種類に分けられます。


実際に使用されていた、走行用のレールです。跨った軌道の上に更に敷かれていました。この姫路市営モノレールは、線路を跨いで走るタイプでしたが、跨いだ線路の上に更に敷いてある線路をなぞって走る「ロッキード式」と呼ばれるものでした。この「ロッキード式」タイプは、従来のモノレールより高速運転が可能というメリットがありましたが、従来の「アルウェーグ式(跨座式)」に対して騒音が激しく、乗り心地も劣ったため日本では小田急向ヶ丘遊園モノレール(現在は廃止)と姫路市営モノレールでのみ導入されました。

乗客数が伸び悩み、休止から廃止へ


「姫路大博覧会」が閉幕すると、当初こそもの珍しさから乗客数はそこそこあったこの姫路モノレールでしたが、並行して走る山陽電車の運賃より高い、などの理由から乗客数は伸び悩んむようになりました。開業2年後には中間駅だった「大将軍駅」が廃止され、姫路駅から手柄山を結ぶシャトル的存在になりました。


この様に団体割引や往復割引などあらゆる増収策を凝らしましたが、赤字状態はどうやっても脱出する事が出来ずに、1974年(昭和49年)に全線運行休止、1979年(昭和54年)には正式に廃止となりました。

保管されていたモノレール車両
路線廃止後、モノレールの車両は旧手柄山駅にて長い間保管されていました。2003年(平成15年)以降、このモノレールを公開しよう、という動きが始まり、整備が進められてきました。


2009年(平成21年)秋には検修線からホーム内に車両のうち2両を移転する作業が始まり、当時のホームを展示場に、旧検修線部分を水族館新館とした「手柄山交流ステーション」として2011年(平成23年)にオープンしました!


展示されているのは、当時走っていたモノレールの中で両運転台だった200形電車2両編成で、1両は車内の見学も出来ます。


車内にはフカフカの固定式ボックスシートが並び、観光輸送に特化した内装でした。もしもこれが、日本列島を縦断していて鳥取まで走ったら、どんな姿になっていたかを想像しただけでも興味深いです。それだけ、当時はモノレールというものが「未来の世界の乗り物」と思われていたのですね。


200形電車の運転台です。長年、厳重に保管されていたこともあって状態は良かったです。

また、旧プラットホームには当時の駅名板や広告、時刻表まで再現されており、あたかも当時のプラットフォームに立っているかのような錯覚を味わせてくれます。


再現された手柄山駅の駅名板です。「大将軍」駅の表示もそのままでした。

 

 

 


ホームの一角には、2010年に全線廃止(神姫バスに移管)された姫路市営バスの資料も展示されています。


屋外に展示されている、姫路モノレールの台車です。現役時代は決して見ることが出来なかったため、貴重な資料です。

今でも残るモノレールの線路
わずか数年で廃止された中間駅・大将軍駅は、ビルの中をモノレールの線路が通過する珍しい構造故、廃止後も長らく建物が残っていました。しかし、耐震問題などから解体が決まり、2016年(平成28年)の夏に2回、一般向けの見学会が開催されて、その競争率は50倍にもなったほどの人気でした。


また、山陽電車で山陽姫路駅を出発すると、車窓右手に当時の橋桁跡が残っているのを確認する事が出来ます。

【施設データ】

〒670-0971   兵庫県姫路市西延末440番地  手柄山中央公園(緑の相談所)

電話:079-298-5571 

*開館時間 9:00~17:00

*入場料 無料(水族館は有料)

*休館日 毎週火曜日(祝日の場合は翌日)、12月29日~1月1日